お隣さんの恋愛事情


朝子の様子がだいぶ落ち着いたのを確認し、振り返って黒コート男にお礼を言う。



「あの、本当にありがとうございました!」


泣いていたせいで上手く話せない朝子は、私の隣で何度も頭を下げていた。


深く下げていた頭を上げ、黒コート男の顔を見る。



「……………え………」



「………はっはっは………」



「………はぁ………」


上の会話を説明します。私、黒コート男、正人の順番です。


私たちを見て、不思議そうに首を傾げる朝子。

うん。それは正しい反応だよね。



「どしたの…?」



「…あ~っと……」



そう言いかけた瞬間。


「初めまして!恭子の部屋の隣に住んでるミキね……」



「待たんか!!!」



「へっ?」



そうですよ。
もう皆さんおわかりですね?

まぁ、なんと。
先ほどヒーローのようにカッコ良く朝子を助けたのは、隣に住む幹夫…ミキ姉でした。



あぁ~…だから正人があんなこと言ってたのか…。と、浸ってる間もなく、ちゃっかりオネェだということを暴露しようとしているオッサンの腕を思いっきり引っ張った。


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