お隣さんの恋愛事情
恐ろしい剣幕でまくし立てられ、見かけによらないドスドスとした足音を立てて、朝子は食べ終わった食器を片付けに行った。
私はと言えば、左手に旗のついたつまようじを持ったまま、右手でスプーンを持って口をカパーンと開けている。
「…んなこと言われてもなぁ…」
ボソッと呟いて、半分になったオムライスを口に運ぶ。一人ポツンと取り残された私は、今までの自分を振り返ってみる。
かつての私の脳内計画では、確かに今の年には結婚間近の彼氏がいるはずだった。
だけど、脳内計画なんて結局はただの妄想に終わり、あれよあれよと言う間にこの年になった。
そりゃこんな私にだって恋をしたことはある。だけど、砕けてばかりの青春時代。たった一度だけ、奇跡的に告白されて付き合ってはみたものの、口約束みたいなもんで、その1ヶ月後にはアッサリとフラレた。
それは17歳の頃の話で、それ以来何も変わったこともなく、芸能人に憧れハマっているうちに、今に至る。
で、その結果、趣味は寝ること。食べること。あと、風呂上がりのビールとスルメが大好物ですってな女になってしまった。
けど別に良いかなぁなんて思ってて。これはこれで楽しいし、幸せだって思える。
でも朝子に言わせりゃ、私はダメ女らしく。
んー…。
どうしよ…。