お隣さんの恋愛事情
「ちょっと!まさかオネェだって言うつもり?!」
「え、」
「え、じゃなくて。」
「ダメ?」
「上目遣いでウルウルしたってダメですよ。」
「ちぇっ」
さっきまでのヒーローのような面影は何一つなく。
目の前にいるのは、悲しいことに両手を握りあってニコニコしているただのオッサン。
「とりあえず、私が順を追って話しますし、たぶん会うこともないだろうから、話さなくていいかもですし。」
何とか説得し(説得というのかどうかは不明)、もう一度朝子に駆け寄る。
とりあえず今日はうちに泊めようということになった私たちは、仲良く(?)4人でマンションへ歩く。
「……なぁんか嫌な予感すんだけど…」
「おや、偶然だね。私も同感だよ。」
コッソリ耳打ちしてきた正人に返し、ハッと前を見れば朝子とミキ姉が楽しそうに話している。
何となく朝子をミキ姉に近づけたくなくて、ズンっと2人に割って入れば、今度は朝子が私の腕を引っ張った。
何だろうと、正人たちから少し遅れをとり話を聞けば。