お隣さんの恋愛事情
「…ねぇ恭子…」
「なに?」
「…幹夫さんって…彼女とかいる、のかな…」
嫌な予感的中。
「…いないんじゃないかな…ハハッ…」
そうだった。
今更だけど忘れてた。
朝子は、惚れっぽくて恋多き女だった。
「…運命感じちゃったっ☆キャッ恥ずかしっ☆」
「朝子から何回運命って言葉聞いたかな…」
「今度こそよ!」
「…うん、違う意味で運命かもね…」
こうなりゃ呆れて笑うしかないわけで。
隣でウキウキしている朝子を見て、「お前、立ち直り早すぎんだろ」と、心の中でツッコんだのは言うまでもない。
やっぱり私には、まだまだ恋する乙女の心はわからない。
てゆーか、わかりたくないかもしれない。
「どんだけ~…」
ボソッと呟いた独り言は、他の3人の耳に届くことはなく。
見上げた空に浮かんだ星に溶けていった。