お隣さんの恋愛事情



「ちょっと!ブツブツ言ってないで茶くらい出しなさいよ!」



「………」



……小動物め、偉そうに。

体は小さい癖に、態度がでかいというのはどうだろう。

だけど、そう言われて素直にキッチンへ向かう俺は一体なんなのだろう。



「あ、コーヒー?」



「コーヒーしかない。」



「ミルク多めで、砂糖は6個でよろしく。」


入れすぎだろ!
だったら最初からコーヒー飲むなよ!

と、言えない俺はかなりの小心者である。


いや、お人好しなのだ。


昔から頼まれれば断れない性格で、子供の頃なんて、そりゃあ近所でも評判の「お利口さん」と呼ばれていた。

だけど、別に苦にはならなかったし、むしろ嬉しくて愛想を振り撒いていた。

しかし今、そんなお人好しな性格が裏目に出ている。
こんな性格じゃなければ、こんなグウタラ女と関わり合いになることも、ジャイコにしつこく絡まれるここもなかったはずだ。




あぁ、我ながらなんと不憫な男なんだ、俺。


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