お隣さんの恋愛事情
―――……
「なに、その欠伸。嫌味か?なぁ、やっぱ嫌味か?!」
「朝から牛みたいに目ギョロギョロさせてんなよ。」
俺の働くちょっと小洒落た洋服店で、朝っぱらから興味津々に俺の顔を覗き込んでくる男。
俺とほぼ同時に入店した、ほぼ同期の山本淳。しかも同い年。
ただ、ひっかかるのは、なぜかこの男と俺が親友だということだ。俺は親友になんてなったつもりはないのに、本人はそう思い込んでいる。性格には少々問題があるものの、根は良い奴なので、そういうことにしておく。
「昨日の合コン良かったのか?そうなのか?そうなんだな?!」
「しつこいって。てか、何で合コンの話が出てくんだよ。」
「欠伸してたじゃん!めちゃめちゃ大きい欠伸してたじゃん!」
「ただの寝不足。」
「寝不足?!てことはアレか?可愛い子ちゃんと良いことイチャこらしたのか?!」
「してないし。当たりどころか大外れだし。」
「おま、嘘ついてんじゃねーよ!合コンの次の日に寝不足とかそれしかありえねー!」
「お前、朝から盛ってんじゃねぇよ。」
「いいい、い今お前バカにしただろ?!彼女いない歴1年の俺をバカにしただろ!」
「だからウゼーんだよテメーは!牛みたいな顔しやがって早口言葉喋ってんじゃねーよ。」
「ああぁ!今、牛バカにしただろ?!なぁ?!」