お隣さんの恋愛事情



夕方になれば、少しは落ち着いた店内。だいぶ遅めの休憩時間に入ろうとした時、何やら騒がしい女の声が店内に響いた。


チラっと店長を見れば、女性客だからか俺に「行け」と目で合図をしてくる。


今日はどうやら休憩はとれそうにないな、と軽くため息をつけば、いつもの営業スマイルに顔を変え、騒がしい声の方へと歩いていく。



「どうかされました?」



「ゼゼゼ、ゼロがっ、よよよよ4つ!」



は?………と言いたいところだが、ここはいつも通りに軽やかに接客接きゃ………



「………」



「これ!何かの間違いですよね?!だってこんな防寒度ゼロみたいな薄っぺらいセーターが2万円なんて!」



「………」



「ちょっと!人が聞いてるの…に……」



「………はぁ………」


あぁ、ヤダヤダ。
営業スマイル無駄にしちゃったよ。
朝からドリンク飲んで来たのに、こんなとこで体力の浪費だよ。



「あんた何でこんなとこいんの?!」



「何でって、俺ここの従業員なんだけど。」



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