お隣さんの恋愛事情



「は、何処がおかしいのよ?」



「言っていいの?」



「どんぞ。」



「毛糸の帽子、網目が破れてほつれてる。ちなみにジーンズのファスナー開きっぱなし。あと、極めつけは………」



「極めつけは…?」



「襟元と袖口が真っ黒になった白いトレーナーと、そのトレーナー前後ろ逆だから。」



そう言った瞬間、レッサーにも恥ずかしさというものがあったのか、一気に顔を赤くして慌ててトレーナーを着直していた。
途中、トレーナーの下から、いわゆる「ババシャツ」とやらが出ていたことは、あまりにも可哀想なので言わない。

俺、優しい。


「もっと早く言いなさいよ!」



「つーか着る時気付くだろ。笑」



さっきこのレッサーを見てすぐはウザいなんて思ってしまったけれど、必死でトレーナーを着直している姿が笑えて、初めてレッサーパンダの可愛いオーラを感じた。



「最っっっ悪!!」



「いいじゃん、ウケるし。笑 てかジーンズのファスナー上げろよ。」



「あああ!」



「あと、そのトレーナー捨てろよ。」



「やだよ、暖かいんだよ!」



にしても、トレーナーの襟元はさすがに悲惨だ。ホーム〇スに間違えられなくもない。



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