お隣さんの恋愛事情
「ちょ、」
「………よしっ!」
俺的な可愛い巻き方をしてやれば、近くにある鏡に自分を映している。
「おぉ~!さすが服屋さんだ!」
「ショップ店員と言え。」
ニコニコしながらこっちを見ているレッサーは……それなりに可愛くて。
いつもアホみたいな顔しか見てない俺には、かなりの衝撃で。
「可愛いじゃん。」
ポロリと口走った俺は、言った後に後悔した。
「可愛い?可愛いって言った?!ねぇ!」
「言った、けど」
「やっぱあんた、私のこと可愛いって思ってんじゃない☆素直になりゃいいのにっ(照)」
なぁにを言ってんだ、このアホは。
と言うのが率直な意見で。どうして何か飛躍した言い方をするのか、いや、できるのかがわからない。
「でも、ごめん!今私、朝子のことで頭がいっぱいだから、しばらく恋愛とかできない!」
「(しばらくも何も男できたことねーだろ)」
「じゃ、帰るね!気持ちだけありがたくもらっとくから!」
軽やかにスキップをしながら店を出ていくレッサーの後ろ姿は、そりゃもう本当にレッサーパンダそのもので。
「………俺って罪な男だな………」
意味は違えど、今はそう言わせていただきたい。