お隣さんの恋愛事情



マンションに着いて自分の部屋の前まで行けば、ドアノブにビニール袋がかけられている。何かと思えば、中には焼き芋とマフラー。

焼き芋とマフラーを一緒に入れんなよ、匂いつくじゃん、なんて思いながらも、まだ少し暖かい焼き芋を手に取る。


なかなか旨そうな芋。

チラっと横目でレッサーの部屋のドアを見て、ため息と笑いを一緒にはいた。


とりあえず腹も減ったし食うか。そういや今日は星が綺麗だったなんてことを思い出した俺は、部屋をそのまま通り抜け、ベランダへと直行した。



ベランダに出れば、階数が高いせいか風が今までより冷たく感じる。軽く身震いしながらも、芋を口に詰め込んだ。



「………うまっ…!」


久しぶりに食べた焼き芋は、昔母ちゃんがストーブの上でよく焼いてくれた味と似てて、気持ちまで温かくなった。


しばらくすると、隣のベランダの戸が開く音がして、非常用の衝立を覗けば、レッサーの姿。と、同時に何やら良い匂いがする。




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