ビタースイート


「それよりさ」


飲み干したコップの中の氷がカラン、と鳴る。


「紗都は水無月君と、どうなりたいの?」


あまりにも唐突だったので、噴き出しそうになる。

鼻にオレンジの酸味が上がってきて、ツーンとする。


「どうって…」

「まあ紗都の事だから、見るだけで満足してるんでしょ」


確かにそうかもしれない。

付き合いたいとか、メールしたいとか、あまり考えた事が無い。

"好き"なのは揺るぎないものだけど。


「今は、見てるだけでいい」

「余裕だね。とられるよ、他の女に」


水無月君がクラスの女の子と楽しそうに喋っているのを想像する。

嫉妬する。

私は彼の何でもないのに。




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