ビタースイート


そんな毎日が続き、気が付けば私はもう授業を受けていた。

休み中の事は何も覚えていない。


「夏バテ?」

アキがお弁当を持って教室に入って来た時、やっといつも通りの生活が始まったとわかった。


「夏休み、無駄にしちゃったな」

「水無月君の事考えてたんだ」

アキはにやり、と笑うといつも通りクッキーを出した。


口に入れた途端、苦味が支配する。


「あたしもクッキーもパワーアップしたから」

大声で笑うアキ。
つられて笑う私。


今この時この空間が続けば、なんて思っている私だけはまだ何も変わってはいない。


ビターチョコレートが余計に苦く感じられる。




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