ビタースイート


恐ろしいくらい、真っ青な空。

体育祭は予定通り、何も起こらず進んでいた。


時折遠くで見える水無月君の笑顔は、私の不安を吹き飛ばす。


「紗都、見つめすぎ」

「えっ…そんな見てた?」

「ガン見だよ。そのうち気付かれるよ」


その方がいいのかもしれない、思ったその時リレーのメンバーが集められる。

いよいよ、だ。


「紗都、大丈夫だから。余計な事は考えんなよ」

「うん」


耳を刺すような銃声。
微かな火薬の匂い。

第一走者が、スタートした。




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