ビタースイート


第二、第三と次々に渡っていくバトン。

眼鏡がないせいでよく見えない。


先程走り終えた前川さんが私の所に来て、息を切らして言う。


「水原さん、今四番」


つまりはビリから二番目。
まずい。

迫ってくる緊張とバトン。


「紗都ーッ!見てるよー!」

アキが、だろうか
水無月君が、だろうか。

どちらでも良かった。


次に聞こえたのは第四走者の、「頼んだ、水原」だった。


バトンは酷く重かった。



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