ビタースイート


思えば、水無月君をこんなに近くで見られるのは初めてかもしれない。

電車ではわざと距離を置いてたから。


じっと見つめるのは三秒が限界。


茶色い髪、長めの前髪、少しつり上がった細い目、細い身体、全てに心奪われる。

それに比べて私はどうだろう。


私はアキみたいに可愛くないしお化粧も上手じゃない、料理だってそう。


釣り合わない。


そう思った時、初めてわかった。


私は今以上を望んでる。

水無月君を見ているだけは、嫌になってる。


私の中の我が儘な私が、遂に本性を現した。




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