ビタースイート
サプライズ
正月気分も抜けぬ間に、無情にも始まるのが学校というもの。
新年早々、元々真っ直ぐだった前髪を更に真っ直ぐに切りそろえてしまった。
学校までの道のりが、私を更に沈ませる。
こんなことなら美容院で、ちゃんと切ってもらえば良かった。
長い後ろ髪がマフラーの間に入って擽ったい。
「あけおめ、相変わらず髪綺麗だねー」
改札を出るとアキが待っていてくれた。
一緒に登校するのはいつ振りか。
「あけましておめでとー。前髪には触れないでね」
正月ボケのせいか、故郷の言葉は忘れてしまっていた。
歩いていると前方に水無月君を見つけた。
あけましておめでとう。
彼の背中にそっと囁く。
勿論心の中で、だけど。
.