ビタースイート


「てゆかさ、紗都もうじき誕生日じゃんね」

「えっ、あ…そだね」


気まずい雰囲気を変えようとしてくれた(多分本人は自覚してないだろうけど)アキに感謝しつつお茶を飲む。

湯気が立つ。

水無月君が目の前にいる緊張が、少しずつ和らいでくる。


「まっ、来週の水曜、楽しみにしときなっ」

「うん?」


アキがそう言った時、水無月君は友達に何か言われてるように見えた。

来週の私の誕生日、水無月君も祝ってくれるサプライズなんてないかな。

心の中でそう、ひとりごちた。


飲み干したコップからはまだ少し湯気がゆらゆら揺れている。




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