ビタースイート
そんな出来事も次の日には忘れ、ついに誕生日がきた。
ここ最近忙しすぎて誕生日自体を忘れていた私は朝、携帯電話に届いていた数件のメールでその事を知ったのだった。
まだそんな年じゃないのに。
思わず自嘲する。
その日は何故かアキが来なかった。
毎日、休憩毎に隣の教室から来てくれていたのに。
風邪でもひいて休んでるのかな?
『まっ、来週の水曜、楽しみにしときなっ』
一週間前のアキの言葉を思い出して少し悲しくなった。
しょうがないよ。
アキにだって都合がある。
自分の心に言い聞かせる。
喉がきゅう、と締められ、何だか寂しい気持ちになる。
とりあえず、お昼は食堂に行こう。
誰も今日が私の誕生日だって知らないけど、大勢の人とご飯を食べたら、なんとなく祝ってもらってるみたいだし。
教室中の生徒達の熱で曇った窓に日付を指で記す。
指が、噛まれたようにじんじんした。
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