放課後、いつもの教室にて

キーンコーンカーンコーン

《2年数学科相原先生、相原先生、お電話が入っております。至急職員室まで来てください》


「……丁度良かったじゃん先生。電話のついでに。」
「……可愛くねえな、お前。」
「可愛くなろうなんて思ってないもん。」
「俺が戻ってくるまで帰るなよ?直子は俺の小間使いだからな、」

私に大量の数学プリントを押し付けると、先生はワイシャツのボタンを留め直しながら面倒くさそうに髪をかき上げてこの部屋を出て行った。

机の上に置きっ放しの彼の生徒名簿を指でそっとなぞる。

「あいはらてるゆき……、」


一番最悪だと思う教師の名前。

だけどとても、放って置けない存在――。


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