放課後、いつもの教室にて

私は彼に押し付けられたプリントを机の上で弄りながら外の景色をぼんやりと眺めていたところだった。

「プリントやったのか?」

暑そうに首もとのボタンを外しながら、彼は私のすぐ横までやってくる。

「やるわけないでしょこんなに沢山。……心配しなくとも、全部白紙だから。」

「ちょっとはやれよ、ただでさえ成績不振のくせに。」

「……うるさいなあ、関係ないでしょ、」

「あのな……一応俺はお前の数学担当だ、」

「へえ、そう。」


そう。


とても、キレイな人だと思った。



少なくとも初対面のときの彼は、私とは間逆の人間なんだと思っていた。
私は入学してからすぐ不良生徒のレッテルを貼られ、周りの生徒や先生から恐れられる存在になった。

だから、彼と初めて会ったとき。
私は絶対に彼と関わってはいけないって、そう感じたんだ――。

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