先生の笑顔。


  
  後ろから聞こえてきた声に
  振り返る私。


  

  「…あ、葉月!
   ちょ、そこいて。俺も乗るからっ…」



  
  …先生、だ。
  
  私は、先生の声で、
  扉のところで足を止める。



  
  “扉が閉まります。ご注意ください”

  プシュ-..


  
  朝だけは混む、この電車。
  隣には、先生。


  
  
  「ありがとな。葉月」


  「先生、寝坊したんでしょー?」



  
  たまに、こうやって
  電車の中で先生と話すんだ。


  この時間のために、
  早起きして、早く家を出てるんだ。




  
  まるで、偶然のように
  装って…ね。




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