足跡
あの頃
千景とは同い年でご近所さんで所謂ところの『幼馴染み』ってやつで…
近所に年が近い子がいなかったこともあって、親同士も仲が良くて、子どもの頃からいつも一緒だった…

ってどっかの漫画や小説みたいな設定だな。
でも、事実なんだな。

千景の母親は働いていたから、保育園や小学生の頃は放課後はいつも決まって家に来ていた。

とにかく俺は千景が好きだった。
いや…今でも好きだよ。



漫画のような設定かもしれないけど、漫画なら中学に上がった頃からお互いを意識しちゃって話さなくなっちゃうんだろうけど、俺らは違ったんだ。

中学に進学してからは俺は剣道部、千景は新体操部に入部した。
朝練がない新体操部とは違って、剣道部は毎日朝練があったから登校こそ別々にしていたものの、下校は同じ方向だったこともあり、自然と一緒に帰っていた。

俺らの関係が変わったのは中学3年の冬だった。

その日から俺らは“恋人同士”になったんだ。





それから10年―

25歳になった俺らは今も尚“恋人同士”だ。


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