足跡
「あき、また背伸びたんじゃない?」

「そぉ?太っただけじゃない?」


ダイニングには俺と千景。
ふたりきりになった。


千晶は寝る時に武蔵を部屋に連れていく。
武蔵を連れて行ったってことは、もう寝るのだろう。


「その煮物、おばさんからもらったやつだよ。」

「聞いた。」

「てかあきの料理とおばさんの料理って何か似てるよね。」


アイスを少し唇につけたまま俺の方を見て笑いながら聞いてきた。

「ついてる。」

「えっ?」

俺は自分の唇を指さすと、千景は舌で舐めようとした。


「反対」

ようやく、唇のアイスをとった。


「食器そのままでいいよ。紘平もアイス食べるんでしょ?」

「ん?」

「あの抹茶のアイス食べるの紘平だけだもん。あたしもあきも抹茶苦手だし。」

こいつは本当に凄いな。

周りをよく見ているというか、洞察力が凄い。
俺がわかりやすいのかな?
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