足跡
千景は結構眠そうな様子だったが、いきなりガバッと起きて
「駄目だ!!暑い!!タイマーかけるからちょっとだけクーラーかけてもいい?」

「びっくりした~。あぁ。別にいいよ。俺も暑くて寝れねえ。」


俺はあまり暑いとは感じなかったけど、千景は相当暑かったらしい。
エアコンをつけると、再び横になった。
その時に千景はさり気なく、俺をまたいで壁側からベッドの端側へと移った。


「紘平…?」

「何?」

「…」

「何…?」

「…」


俺は千景にキスした。


「おいで。」

俺が腕を伸ばすと、素直に頭を乗せてきた。
エアコンの冷たい風も手伝って、お互いにくっつき更に千景を包み込むような姿勢をとった。


「紘平夏休みは?」

暗闇の中話始めた。

「ん?わかんね。たぶん今年は交代でとるんじゃないかな?」

「ふ~ん…」

「ちかは?」

「え?20日くらいから一週間。」

「長くね?」

「社長が旅行だってさ。スペイン。」

「へぇ~いいな。」


千景は短大を卒業して一年くらいはアパレル関係の会社で働いていた。
しかし、その後に今の個人設計事務所のデスクとして働いている。


「あたしもスペイン行きたいなぁ。」

「…行きてぇな。」

「連れてってよ~。」

「…うん。その内ね~」

「ふふっ。」


千景の家に泊まるのは好きだ。
千景と一緒のシャンプーを使うから、同じ匂いになれる。
だから何か嬉しい。

俺の思考回路は中学生かもしれないな。

< 22 / 58 >

この作品をシェア

pagetop