足跡
「紘平…」

「ん?」

俺たちは何度もキスをした。
そしてそのままいつの間にか眠りについた。





―翌朝

目が覚めたら8時を過ぎていた。
横には千景の姿はなく、寝間着は脱ぎっぱなしで床に置いてあった。

俺はそれを拾ってたたんだ。


リビングに行くと、千景の姿はなく千景の母ちゃんがダイニングでコーヒーを飲みながら新聞を読んでいた。

「…おはようございます。」

「あっ!!紘ちゃん!!おはよう。コーヒーでも飲む?あれ?仕事は?」

「いや、コーヒーはいらない。これから仕事っすよ。いつ帰ってきたんすか?」

「いや~昨日盛り上がっちゃって。2時過ぎくらいかな?そのままリビングで寝ちゃってて。朝、あきが武蔵の散歩行くときに起こされたのよ。」

千景の母ちゃんは豪快だ。
そしてこの人もあまり人の話を最後まで聞かないで、一方的に色々話してくる。

「あきはもぉ部活?」

「そうみたい。」


千景の姿は見えなかったが、洗濯をしているようだった。


「ヤバい!!もう行かなきゃ!!紘ちゃん、ごゆっくり~」

千景の母ちゃんはバタバタと出て行った。

「行ってきまーす!!」

「行ってらっしゃい!!」

どこの家も朝はドタバタだな。
千景の家は朝に千晶が武蔵の散歩、普段は母ちゃんが朝食&弁当の準備をして比較的朝が遅い千景が掃除と洗濯を担当している。


「お母さんもう出て行ったの?」

千景がリビングに入ってきた。

「お前の母ちゃんは元気だな。」

「ね。ご飯食べちゃお。」

「うん…」


今日はおばさんはギリギリまで寝ていたから千晶が朝食の準備をしたらしい。

ご飯に味噌汁に目玉焼きにサラダ…
16歳でこれだけできれば十分だろ。
うちの姉ちゃんなんて、家じゃ何もしねぇぞ。


「いただきます。」

「いただきます。」

そう言えば、こいつもあまり料理しねぇよな。
掃除もあまりできないし。

「あきの味噌汁味なくない?」

「うん…ちょっと薄味だな…」

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