足跡
結局、片付けやら洗濯をしていたらあっという間に10時をまわり、千景は先に駅に向かった。
と、言っても千景は化粧やらなんやらで忙しいと言って、俺が食器を洗い、洗濯物を干して、軽く掃除機までかけた。
俺は千景を見送ると、着替える為に一旦自宅へと向かった。
「ただいま~」
「あらっ?紘平!!今日休み?」
「違うよ。着替えてこれから会社行くの。」
「そう。ごはんは?」
「いらない。ちかんとこで食ってきた。」
「そうなの?」
自宅に戻ると母ちゃんはドラマの再放送を見ながら、一服していた。
俺も母ちゃんの前に座って、テーブルに置かれた新聞に目を通しながら、横目でドラマをチラチラと見ていた。
「このドラマねぇ、意外と面白いのよ。」
そう言いながら、お茶を飲んだ。
「そう言えばさ、あきの料理、母ちゃんの味に似てきたよ。」
「そりゃそうよ。ちっちゃい時からあたしの横でお手伝いしてたんだもの。昨日も麻婆豆腐どうやって作るのか聞きに来てたんだから。」
俺は家ではなんとなく千景の話題は出さないようにしている。
なんとなくだけどさ。
だから代わりに、千晶や武蔵の話ばかりしてしまう。
母ちゃんもなんとなく千景の話題は出さない。
別に嫌ってるとかじゃなくて、ただ、なんとなく。
「あんた、会社行かなくていいの?」
「あぁ。行くよ。」
「そう。気をつけて。」
「うん…」
と、言っても千景は化粧やらなんやらで忙しいと言って、俺が食器を洗い、洗濯物を干して、軽く掃除機までかけた。
俺は千景を見送ると、着替える為に一旦自宅へと向かった。
「ただいま~」
「あらっ?紘平!!今日休み?」
「違うよ。着替えてこれから会社行くの。」
「そう。ごはんは?」
「いらない。ちかんとこで食ってきた。」
「そうなの?」
自宅に戻ると母ちゃんはドラマの再放送を見ながら、一服していた。
俺も母ちゃんの前に座って、テーブルに置かれた新聞に目を通しながら、横目でドラマをチラチラと見ていた。
「このドラマねぇ、意外と面白いのよ。」
そう言いながら、お茶を飲んだ。
「そう言えばさ、あきの料理、母ちゃんの味に似てきたよ。」
「そりゃそうよ。ちっちゃい時からあたしの横でお手伝いしてたんだもの。昨日も麻婆豆腐どうやって作るのか聞きに来てたんだから。」
俺は家ではなんとなく千景の話題は出さないようにしている。
なんとなくだけどさ。
だから代わりに、千晶や武蔵の話ばかりしてしまう。
母ちゃんもなんとなく千景の話題は出さない。
別に嫌ってるとかじゃなくて、ただ、なんとなく。
「あんた、会社行かなくていいの?」
「あぁ。行くよ。」
「そう。気をつけて。」
「うん…」