足跡
会社に着いたのは12時を少し過ぎた頃だった。

「おはようございます。」

「おはよう。」

今年入ってきたデスクの女の子だ。

名前は…

忘れた。


高原はすでに出社しており、目をつぶったまま上を向いていた。


何だ、こいつ。
寝てんのか?


俺はわざと音を立てるように椅子を引き、自分の席へと座った。

高原はさすがにそれにびっくりしたのかパチッと目を見開いた。


「わりぃ。寝てた?」

「大丈夫っす!!おはようございます!!」

「昨日帰ってないの?」

「いや、帰りましたけどぉ。」

「寝てただろ。」

「いや!!寝てませんて!!考え事っすよぉ」

「何?彼女?」

「はぁ…そんなもんすかねぇ…」


俺は高原と喋るのは割と好きだ。
何て言うか、思った通りの答えが返ってくるから面白い。

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