足跡
俺は来る途中に買ったペットボトルのお茶を飲みながら、パソコンを開いた。


「てか、あのデスクの子。お前と同期のさ、何て名前だっけ?」

「佐伯っすか?」

「あ~そうだ。佐伯さん!!」

「佐伯がどうかしましたぁ?」

「いや、ただ名前ド忘れして…で、彼女がどうしたって?」

「そうなんすよ。僕、振られたみたいでぇ…」

「振られたみたいって?」

俺はなるべく関わりたくねぇな。
と思いつつも、話を聞いた。


「全然連絡つかないんすよぉ。メールしても返事こないしぃ、電話しても完全拒否られててぇ…」

「…彼女、付き合ってどんくらい?」

「半年っすかね?」

「ふ~ん…」


自然消滅だろうな…高原には悪いが。


「うちの会社はよくあることよ?特に1年目は。」

「まぁ~じっすかぁ?」

「そやで。忙しい上に時間も休みも時間も不規則だからね。彼女にしてみたら寂しいじゃねぇの?」

「でも、それも理解した上で付き合ったんすよ?メールも毎日してたし、都合がつけば会いにも行ったし。」

「それはお前の言い分だろ?」

「まぁ…」

「諦めるか、手紙でも書けば?」

「手紙っすかぁ!?…つか、手紙とかキモくないっすかぁ?」

「あぁ。気持ち悪いね。めっちゃキモい。」

「何すか~それぇ~」


そう言いながら、高原はようやく笑った。

こいつ、よく見たらかなり疲れた顔してるな。
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