素直になれたら
ゆりは少し深刻そうな顔をしていた。
「それはお前、悲観的過ぎねぇか〜?」
翔が鼻で笑って言う。
「そうだよゆり、第一理由聞いてないんだしさ…アンタは意地になるタイプじゃないんだから早く和解しなさい?」
「…………………。」
ゆりは拗ねる様に黙り込んだ。
「理由って、連絡取れなかった理由?」
翔は何を喋ってもふざけてるように見えるのは私だけだろうか…。
「だったら俺解るけど?」
「どうせ携帯落としたか無くしたんでしょ?」
「なんだ、知ってんじゃん」
「だいたい見当は付くよ…それは確かに仕方ないけど…ゆりは勝希を試したいの!」
そこまでの会話で大体ゆりの考えが解った。
「ゆりをドコまで想ってるのかを?」
そう言う私の質問に、ゆりはコクリと頷いた。
「でもちょっと酷いんじゃないの〜?女に無視される男の気持ち程無情なものはねえよ…」
「………。」
「なぁ美嘉ちゃん」
経験者は語る、とでも言い出しそうな顔付きで、翔は私の顔を見た。
「ばぁか」
そんな私らのやり取りを横目にゆりは、大きく溜め息を付いた。
「どうせ勝希は元々ゆりの事あんま好きじゃなかったのかも…告ったのゆりからだしさ…」
「何で?そう感じる節があった?」
「……いや、別に…なんだろ…解んない。」
ゆりは歯切れ悪くそう答えた。