君がタメ

そして…


花火が終わり車に戻る時に
俺は何故か緊張して

サヤと上手く話す事が出来ず
口数が減っていた


そのまま車に乗り込み
口数少ないまま

微妙な空気で夜景スポットへ
向かった。



山道を車で上る時に
助手席でチラッとサヤが俺の顔を覗くのがわかる




サヤ:?




ヒロ:……。



サヤ:お こってる?



ヒロ:怒ってないよ。


サヤに余計な心配させたみたいだ

早く話ししなくちゃ。


焦って話しを切り出そうとした時

坂を上る車の窓からタイミングよく夜景が広がる



ヒロ:ほら!窓の外見て!


サヤ:うわぁ〜綺麗だねぇ



顔を見なくてもサヤの声から笑顔が伝わる


上りきった坂の上に車を停めて
展望台へ歩いて行くと

街が星になったようなキラキラした優しい光りの群れが目に写る



サヤ:すごぉい! 綺麗だねぇ


ヒロ:来てよかったね!


サヤ:うん!ヒロ君ありがとう!


しばらく二人静かに
夜景を眺めていた




サヤ:……サムィ。


ヒロ:車戻ろ


サヤ:うん。でも、もうちょっと


俺は上着を脱いでサヤの肩にかける


サヤ:ありがと



俺はサヤの事を知ろうとここ数日頑張ったが

結局俺が気にしていたのは
サヤの病気で

尻込みして躊躇していただけだったと…

でも今は見えてる

俺にはサヤの姿が


サヤのもっと傍へ…

俺はいつの間にか

世の中の何よりもサヤが大切な
存在になってた


サヤ:寒い…車戻ろ


ヒロ:ああ、そだな。


車まで街灯もない暗闇が続く

高いヒールをはいているサヤには歩きにくそうだ

俺はサヤに手を差し延べる


サヤは一度手を出しかけて


サヤ:だ…大丈夫だよ…


サヤは
また俺の手を握ってはくれなかった

気まずい空気が流れる…

二人車に戻り

今来た坂道を下り

サヤを家に送る為

一言も会話する事もなく帰路に
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