番外編 芦原大成の災難
芦原はゆっくりと振り返った。
そこで見たものとは!?
そこに座っていたのは、上下黒いスーツに身を包んだ、芦原の想像より一.五倍くらいもっちりした見覚えのある女性だった。
『おおおお、乙姫さんっ!?何でこんなとこにいるんすかっ?』
そこにいたのは交通課のベテラン婦警、お局様こと乙姫愛華だった。
『はぁ。何言ってんのよ。神山が、芦原君が日頃あたしにお世話になってるから、お礼に美味しいものをご馳走したいって言ってる、とか言うからわざわざきたんじゃない』
『……………ッ!?』
芦原は一瞬で真っ白になった。
『センパイ……』
やっぱり、あの神山のこと。
美味しい話はないのである。
『そうそう、神山がさぁ。ご飯食べてからでいいから、例の通り魔事件の張り込み交替に来いってさ』
『はは、ははははは』
もはや、芦原に思考力は残っていなかった。
『じゃあ、悪いからさっさと行こうか』
そう言って乙姫は伝票を持って立ち上がる。
この後、芦原は乙姫の飲食代としてカフェの代金はもちろん、高級寿司屋にて締めて五万円分奢らされた。
そして、また徹夜三日目パンツも三日目の激務に身を投じることとなる。
頑張れ芦原。
負けるな芦原。
皆が安心して合コン出来るために!!
君の災難はまだ始まったばかりだ…………。