この手でどうか…
「リーセーくーん? 行くなら何で言ってくれないの? 
しかも私より早く行ったくせに、私よりも遅い到着って。方向音痴にも程があるよ、全く」

「セレン……前にも言わなかった? 僕には助手はいらないって」

「でも最終的に勝手にしろ、と言ったのはリセ君だよね? だから勝手にさせていただきました」


リセは額に手を当て、軽く眩暈を覚えた。

レンティルやその場にいたマスターは何の事かと首をかしげて見せたから、

セレンと呼ばれた彼女はリセと自身の関係を二人に教える事にした。


「私はセレンディーネ・リハネス。歳は十九歳です。セレンと呼んで下さい。
以前大切な友人を助けていただいたのを切欠に、そこにいるリセ君の助手をやっています」

「それは勝手に言っていることであり、僕は認めた訳ではないので」


セレンが説明した事に対して、リセは一言補足を付けた。

それにむくれるセレンを余所目に、リセはウィルドの兄であるマスターに話を聞く事にした。

それを他の客が興味ありげに見ている中で。
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