この手でどうか…
「……っ」

「威勢が良いな。だが女でも俺は容赦しねえから」

「わざとらしい。僕は男だ!」

「ああ、そういえばそうだったな。そういえばついでに伝えておこう。
風呂とトイレ以外、お前は手錠で繋がれてままだ。
全てを束縛してしまったら、お前を殺してしまうからな。
逃げ出そうとか考えたらその頬程度じゃ済まさないから。
俺より兄の方が力強いし。じゃ、俺は用があるから。兄から取り除いて貰いたい奴の情報、聞くと良い」

「待て、お前の名前……は……いなくなりやがったか」


男が去って行くのをただ呆然と見送ったリセ。

逃げる事を考えるなと言われても、リセはウィルドを救わなければならない使命がある。

逃げ出す方法を考えなければ。兄の方が来るまでの時間、リセに出来る唯一の事であった。
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