奴のとなり
「かずきー!」
朝、
彼に手を絡ませていた人。
彼女は甘ったるい声で彼の名を呼ぶ。
当たり前のように手を絡ませると、
彼を見上げてにこにこしてる。
折角何か言おうとしてたのに、
彼の口は閉ざされた。
ふいに彼女と目が合う。
アンタ何?
無言のメッセージが痛い。
帰ろうと階段を下りると、
「こいつと帰るから」
と低い声が耳に届いた。
えっ。
振り返ると彼女は赤い顔をして怒っていて、
「なんで!?」
「だって・・・まだしてない!!」
と慌てている。