奴のとなり



この飴は美味しい。



でもあたしの機嫌とは別物じゃい。



飴を食べ終わると、奴は新しい飴をくれる。



まるで関西のおばちゃんの様に、
身軽なその身のどこにあるのか不思議に思うぐらい、
飴は出てくる。



美味しいものだから、あたしも貰い続ける。



それでも口を利かないあたしに、
痺れを切らしたのか、
奴は

「ラーメン」

と呟いた。



その単語に
大きく反応してしまう自分が悔しい。



奴はほっとした様な表情で、

「次の土曜奢る」

と笑ったように見えた。










< 104 / 555 >

この作品をシェア

pagetop