奴のとなり
この飴は美味しい。
でもあたしの機嫌とは別物じゃい。
飴を食べ終わると、奴は新しい飴をくれる。
まるで関西のおばちゃんの様に、
身軽なその身のどこにあるのか不思議に思うぐらい、
飴は出てくる。
美味しいものだから、あたしも貰い続ける。
それでも口を利かないあたしに、
痺れを切らしたのか、
奴は
「ラーメン」
と呟いた。
その単語に
大きく反応してしまう自分が悔しい。
奴はほっとした様な表情で、
「次の土曜奢る」
と笑ったように見えた。