奴のとなり
えぇ!!
彼女じゃないのに、
あんなにいちゃつくわけ!?
むしろそっちのが嫌だよ。
意味不明って顔に出てたのか、
隣で小さな舌打ちが聴こえた。
それから何故か一緒に帰り、
家がお互い5分のところにあることを知る。
奴はこんなに近いのに
知らないとか謎だと言わんばかりに
不思議そうにしていたが、
あたしからすればよくあることだと思った。
だって
一々近所の人の顔なんて把握してないでしょ普通。
あたし隣はさすがに知ってるけど、
その隣はもうわかんないよ。
ここから、
あたしと奴の不思議な関係は始まった。
友人でもなければ、知り合いでもない。
彼氏彼女かも疑問。
こういう関係ってなんて言うんだろう。
名前なんてなくても
始まってしまったんだからしょうがない。
登校と下校を用事がない限り一緒にすることを約束し、
あたしは家へと入っていった。