奴のとなり



「いたっ」



首が捥げるかと思った。



気が付けば奴の方を向かせられていて、
頬っぺたを奴の片手で捕まれている。



奴はいつの間にか立ち上がっていて、
顔の距離はほぼない。



こんなタイミングで
思うことじゃないんだけど、
やっぱり奴の顔は綺麗だと思った。



・・・、と同時に怖いとも思った。



「俺に謝ることは?」



・・・・・・・・・。




・・・・・・・・・・・・・・ないと思う。



むしろ謝ってほしい。



真剣に考えてみるものの、
あたしに思い当たることは無い。



むしろ
奴になら思い当たることは山ほどあるのに。



なんて事を考えていると、
奴の眉間に皺は増える。











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