奴のとなり
ふと、ナナミさんと目が合う。
ナナミさんは優しく仏様のように笑うと、
グラスに林檎ジュースを注いでくれた。
ついでにクッキーも出してくれた。
にっこり笑ってはみるものの、
上手く笑えているかわからない。
それでもナナミさんの笑顔は
変化が無いのだから大丈夫なんだろう。
あたしはクッキーに手を伸ばすと、
一口で口に放り込んだ。
大好きなマーブルクッキー。
口の中で優しく甘い味が広がった。