奴のとなり
「ねぇ、
あたしそんな怒られるような事した?」
奴は不機嫌そうに視線を戻すけど何も言わない。
「あたし彼女だよね」
「・・・あぁ」
「少しは思ってること話してくれないと無理だよ」
「無理?」
あたしは静かに頷く。
「自分がバカだって知ってる、
だから言ってくれないと分かんない」
「そうだな」
何だ?
どっちに対しての同意だ?
ここは嘘でも
「お前はバカじゃねぇよ」
とか言うもんじゃないのか。
カチンときたけど、ここはあたしが大人にならないと。
大人なあたしは気にしない風に話を続けた。