奴のとなり
ケイちゃんは連絡は取れないは、
鞄は置きっぱなし、
二人して姿を消してしまったものだから、
かなり心配させたみたい。
「何かあったんかと思ったやろがっ!!」
宥めても褒めても謝っても、
ケイちゃんのお怒りは静まることがなくて、
段々どうでも良くなってきてしまった。
ケイちゃんには悪いけど、
あたしは今目の前の問題と格闘している途中で、
どちらを優先させるかなんて聞くまでもないのだ。
「切るね」
短くそう伝えると、
慌てたように、
手のひらを返したように、焦った声で
「ごめんて!!」
、と謝ってきた。
初めからそうしてりゃいいのよ。
なんて少し調子に乗ったら怒られた。