奴のとなり



-視線・・・。



さっきからびしばし感じてる。



きっと原因は隣にある。



じっと見上げると、
当の本人は気にもならない様子。



「すごいね・・・」



「あぁ?」



不機嫌そう、
まだ遅刻してきたこと根に持ってるわけ?



嫌というほど謝ったじゃん。



小石を蹴ると、あべこべな方角に転がった。



「何がだよ」



「また噂されちゃうね
次は得体の知れない女と歩いてたーって」



意地悪く言ったつもりだったけど、
奴は気にも留めていない。



あぁー
なんて適当に返事を返してきやがった。



自分から聞いた癖に。






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