奴のとなり
さっきケイちゃんが脅えてた理由はこれか。
「本当に何度もすみません」
そう言って氷を元のグラスに吐き出した。
「ぎゃっ!!」
にやっと笑うケイちゃんは、
伊達に奴の友達やってないなって思わせる。
と同時にケイちゃんはあたしをジロジロ見てくる。
不思議に思ってると、
奴の落ち着いたような呆れたような声が聴こえた。
「それ、どうにかなんねぇのか」
「それ・・・」
指差された場所を確認すると、
冷たくて、そこで気づく。
あたしの涙が止まっていなかったことを。
二人の視線が痛い理由を。
でも止められそうになかった。