奴のとなり



周囲を見回すと、
ナナミさんは優しく微笑んでる。



きっと最初から狸に気づいてたっぽい。



ケイちゃんは、
・・・驚いた顔してるから気づいてないなアレは。



ここまで来たら開き直っていて、
ケイちゃんをぎろりと睨みつけた。



ケイちゃんはびくっと体を反応させると、


「何やねん」


と虚勢をはる。



目は据わったまま、


「天然じゃねぇよ」


と凄み続けると、ケイちゃんは笑い始めた。



「そんなとこが天然やっつーねん」



とても面白そうに笑うから、
もういいやって気持ちになってしまった。



あたしなりの大きな怒りは、
どっかに飛んでいってしまったのだ。










< 180 / 555 >

この作品をシェア

pagetop