奴のとなり
「主語・・・」
「は?」
「主語言わないとわからねぇだろーが」
一樹桃矢風に怒ってみた。
吃驚したように目を開いたけど、
また直ぐに無愛想な顔に戻る。
あぁなんて納得するように呟いた。
主語が無い会話って
お互いが理解できてれば素敵だけど、
一方は理解してて
もう一方が理解できてないと気持ち悪い。
っていうより気になって、
でも聞きにくくてうぁーーーーってなる。
「もうちょっとしたら分かる」
はい、また意味不明。
話してくれる気がないのか、
それなのに奴は少し嬉しそうに歩いていく。