奴のとなり
校門まで来たとき、
はっとした。
昨日まで眺めていた景色に、
今日からは自分が加わっているんじゃないかって。
窓から見た景色
・・・一樹桃矢が彼女と、
いや正確には彼女じゃないらしけど、
歩いて登校するのを眺めていた。
それが今日からは
自分が一緒なんて不思議な感覚だ。
嬉しいとかはないけど、
違和感もない。
案外景色の一部にすんなりとなれたあたしは、
校門の前で立ち止まる。
奴も少ししてあたしに気が付いたのか、
立ち止まって理解不能な顔をする。
手招きをすると、
嫌そうな顔で、
それでも戻ってきて隣に並んでくれた。
あたしは彼の腕を掴むと、
せーのの掛け声で一緒に校門のラインを跨いだ。