奴のとなり
らーめんを食べ終えるまで、
二人黙々と食べた。
啜る音だけが部屋に響く。
奴はあたしより先に食べ終えて、
空になった器からあたしに目を向ける。
「神崎京子だったか」
・・・?
意味不明の単語が並ぶ。
女の人の名前だってことはわかるけど、
それ以上何も分からない。
いきなり何なんだ?
「おまえ、ダチできたんだな」
奴はあたしのことも気にせず話を勝手に進めた。
ダチ・・・?
友達といわれて、
ぱっと頭に浮かぶ人は少ない。
ケイちゃん、ナナミさん・・・、
公園に来る常連さん、
友達か分からないけど小悪魔さん。
あたしと関わりのある人間って限られてる。
それでも、何にもピンとこない。
あたしが不思議な顔してるから、
奴もそれを不思議に思ってる。