奴のとなり



ここは果たしてどこなのか?



見回してみると、
知らない街、知らない人でいっぱいだった。



途方に暮れて、携帯を開く。



着信がいっぱいある。



一樹桃矢で埋め尽くされてる。



ごめんね。



そう伝えたいけど、今は会えない。



ぽつりと携帯の画面に雫が落ちた。



最初は涙かと思った。



一人になったら
泣いても大丈夫だって思ったから
安心して出てきたのかと思った。



でも違った。



空からの雨。



灰色のグレイのコートに黒い染み。



濡れてるのに動けなくて、
どうしていいのか急に分からなくなる。










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