奴のとなり
「桜ちゃん?」
優しい良く知る声。
振り返ると、
覗き込むように
傘を差し出すナナミさんがいた。
ナナミさんはあたしを傘に入れると、
寒いからとあたしを車に乗せる。
暖房を入れて、優しい音楽が車内に響く。
気持ちよくて、
着かれきった体には心地良かった。
気づけば
深い眠りの世界へと入り込んでいた。
目が覚めてみれば知らない場所で、
あたしは頭がぼーっとしていた。
何があったんだっけ・・・、ここはどこだろ。
綺麗に整理された場所で、
モノトーンで統一されてる部屋。
全く知らない部屋だ。
こぽこぽっていう知らない音が聴こえる。