奴のとなり
「ごめんごめん。
ほんと桜ちゃんは飽きないよな」
褒めてんだか貶してんだか
分からないようなことを
隣で嬉しそうに言い放つ。
相手が相手なだけに、文句も言えやしない。
これって結構ストレスが溜まるかも。
家の少し手前で下ろしてもらって、
あたしは家に向かって歩き始めた。
「桜ちゃん!」
呼ばれて振り返ってみると、
ナナミさんが窓を開けて顔を出してる。
不思議に思ってると、
「あれ、本気だからっ」
って爽やかな笑顔。
あれって、アレだよね。
それを言われたら余計にこんがらがる。
あたしは苦笑いしか出来なくて、
もう一度頭を下げて家路を歩いた。