奴のとなり
冬、朝、
肌に刺さるような空気が痛い。
頭の中では
アレがぐるぐる回ってて、
家までの時間が長く感じた。
そして、
ふと顔を上げたとき、
信じられないものが目に入って、
あたしは目を疑う。
奴が、奴がいる気がする!!
でも朝だよ?
それにあんな帰り方した後だよ?
目を何度擦ってみても、奴は消えなくて、
足はどうしても進まない。
壁にもたれて、手を組んで、俯いてる。
どうしていいか分かんなくて、
逃げ出したくて、一歩後ずさる。
じゃりっ
小さな音が静かな朝の住宅街に響いた。